空の話

基本的過ぎて忘れがち、「飛行機」と「航空機」の違い

私「あなたが取得しようとする技能証明は何ですか?」

訓練生「事業用操縦士です」

私「では、その限定事項について説明してください」

訓「はい、陸上多発タービン/ピストンです」

私「それだけですか?」

訓「えーと、型式限定がある航空機については操縦することができません」

私「では、型式が必要ない航空機であれば、どんな航空機でも操縦ができるということですか?」

訓「はい、できると思います・・・」

私「できません」

上のやり取りは、過去に技能証明の口述試験やその模擬口述試験を行った際に実際に何度かあったやり取りです。

どこが悪かったか分かりますか?

そうですね。

限定事項について質問された際に「飛行機、陸上多発タービン/ピストンです」と答えていれば問題なかったのです。

この訓練生は、飛行機と航空機の区別をきちんと頭の中で整理されていなかったために、間違った回答をしてしまったと思われます。

では、「飛行機」と「航空機」の違いは何なのかを見ていきましょう。

まず「航空機」ですが、日本の場合は航空法で明確に下のように定義されています。

航空法第二条
この法律において「航空機」とは、人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器をいう。

そして、「飛行機」とは上の記述にもあるように「航空機」の「種類」の一つなのです。

ちなみに「陸上多発タービン/ピストン」というのは「等級」になり、これも限定事項の一つです。

まとめると、技能証明の限定事項は以下のようになります。

①種類

 飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船

②等級

 陸上単発タービン/ピストン、陸上多発タービン/ピストン、水上単発タービン/ピストン、水上多発タービン/ピストン

航空機の種類というのは、知識事項としては基本中の基本であるがゆえに当たり前すぎて、とっさに聞かれると意外と出てこない人が多いです。

また、技能証明を受けるときは航空法についてもかなり勉強しなければならないのですが、この航空法の中ではすべての航空機に対してのことが書いてあるため、文中の表現は「航空機」と記述してあるものがほとんどです。

このため、航空法の勉強をしているうちに航空機=飛行機と記憶がスリップしてしまっているのではないかとも思います。

知ってて当たり前であるがゆえにいつの間にか曖昧になっている。こんなことはよくあります。

皆さんも「当たり前」だと思っているもの、もう一度よく見直してみましょう。意外と知識が曖昧になっているものがあるかもしれませんよ。

ちなみに基本的すぎてあまり聞かれることはないけど、意外と答えられない質問のトップは「十種雲形」です。

ではでは

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