空の話

冬季運航の注意点 ~一酸化炭素中毒~

航空機の冬季運航で気を付けることは?となったら真っ先に思い浮かぶものとしては、着氷や乱気流等の風の影響というのが鉄板ではないでしょうか。

本日配信されたJAPAのメールマガジンにおいて「冬季運航での注意点」という航空局からの情報配信の通知が記事の中にあったので、なんとなく「着氷とかのことなんだろうな~」と思っていたら、意外や一酸化炭素中毒の話でした。

最初は「どういうこっちゃ?」って思っていたのですが、記事を読んでいくと「なるほどな~」となったので紹介したいと思います。

その前に、まずは飛行機の空調(暖房)について簡単に説明したいと思います。

これはエンジンの種類や機体の規模によって変わってくるのですが、一般的に、タービン機(いわゆるジェット機や、ターボプロップ機)は、エンジンの圧縮機から高温・高圧の空気を取り出し、外気で冷却して空調や与圧として使用します。

現行のジェット旅客機の場合、燃焼室に入る直前の気圧は通常の大気圧の40倍に達するものもあり、温度も200℃を超えてきます。

一方で、単発の小型機によく使われるピストンエンジンでは、ジェット機のように圧縮機を持たないため、エンジンの排気熱を利用するのが一般的です。

ざっくり言うと、排気管の中に外気を取り込んだパイプを通し、排気熱で暖められた空気をコックピットに送り込みます。

このため、外気のパイプ(熱交換器)に破れがあると、そこからエンジンの排気ガスが混入してしまいます。

ちなみに航空機用のピストンエンジンには車のエンジンと違い、フィルターなどという環境や人体にフレンドリーなものは装備されていません。ですから熱交換器が破損していると純粋な排気ガスを取り込むことになり、容易に一酸化炭素中毒になる危険性が高まってしまうのです。

一酸化炭素は基本的に無臭であるため、頭痛や吐き気といった中毒症状が出るまで気付きにくく、時に運動機能に障害が出るまで気付けなかったためにそのまま死に至るということもあるようです。

この点、飛行機の場合はその機構上、排気ガスの臭いがコックピット内に充満してくることで比較的容易に察知することができるのではないかと思います。

ですので、コックピット内に排ガス臭を感じたらとりあえずエアコンを切ってみて状況を確認する。それでも異臭が消えない場合は、窓を開ける等、新鮮な外気を取り込む手段を講じながら速やかに着陸するという措置を取るべきでしょう。

冬場のフライトは、特に小型機の場合、寒さとの闘いです。

ついついエアコンをガンガン効かせたくなりますが、使用する際はこういったコックピット内の異臭にもよく注意を払いながら快適な飛行環境を整えたいものですね。

ではでは

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